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天才が開く世界

久々の更新です。
はー、年度末年度初めって仕事がいそがしーんですね。
今回ばかりは、死んでました。
体重だけが減らない。残業でお菓子ばっかり食べているから。

フィギュアスケート世界選手権が終了し、フィギュアスケート・シーズンも、なんとなく、ほんわかな時期になってきました。
国別対抗も残っていますが、ワールドの今季一番の試合を見て(うぬぬ、日本にいたよ)、少し書いてみようかなと思います。

今季を回顧して思うのは、

 ゆづの『Hope&Legacy』は、本当に「希望と遺産」になったな。

という、事実です。

世界選手権でゾーンに入ったゆづのFSの演技は、いつまでも語り継がれると思います。

すでに試合終了から2週間が過ぎ、素晴らしい演技について言い尽くされた感があるのですが、SP終了段階であったミーシン先生の発言が、バレエ・ファンの私の中では、面白かったです。

私は、ロシア語は出来ないので、翻訳をお借りします。ありがとうございます。

<ロシア語自習室>から 

ミーシン<フィギュアスケートは腕を振ることではなく、靴と氷の相互関係> 

(前略)

ちなみに、私はハニュウをアーティスティックだとは言わない。
美に関する私たちの伝統的な考え方とは、アグリッピーナ・ワガノワの規範にそって磨き上げられたポーズと動き、音楽性、そして音楽のリズムに動きを正確に当てることを意味する。
ハニュウは違う。
彼は動きをリズムに当てようとしない。
そして、驚異的な柔軟感覚と身のこなしを披露しながらも、私たちがロシアや世界のバレエの規範・伝統によって慣れ親しんできたものを何も持っていない。
ハニュウは豹を想起させる。
いちども教室へ通ったことがなく、バットマン・タンデュやポール・ド・ブラとは何なのか見当もつかない豹を。

(後略)

※この前後のお話も、ぜひぜひ、読んでみてくださいね。

ううむ、なかなか。
面白い。

バレエ鑑賞歴(ライブ歴)30年の古林からすると、「そうか?」「いや、バレエやってたって割には?」ってフィギュアスケート選手がいる中で、ゆづはバレエ的な魅力もあると思うのですがね。

アラベスクのポーズだって、かっちり骨盤に入っているしなあ。
『レツゴ』で、3Aのランディングの足をふそのまま振り上げなんて、アラベスク・デリエールからフェッテ、そのままバットマンでしょう。

そもそも、バレエって足芸です。フィギュアの場合だったら上半身がどうのって話ですよね?
あ、だからポール・ド・ブラなのか。

音やリズムの感じ方は、人それぞれですし国民性もあるので、そっち方面からは議論はできないです。
ゆづがロシア的かといわれれば、違うということかな。
(ロシア人の音の取り方と、フランス人の取り方も、やっぱりちょっと違うよね・・・レベル)
ただ、何となく、彼にとっては異質なのだと思います。

さて、ミーシン先生の指摘する、ゆづの「驚異的な柔軟感覚」「身のこなし」というお話を聞いて、私は一人のバレリーナを思い出しました。

  シルヴィ・ギエム

1980年代に登場し、それまでのバレエのテクニックを進化させたバレリーナです。

彼女が登場するまで、「アラベスクの脚の高さは90度を超えてはいけない。それ以上は下品」
・・・というエレガンス追求バレエであったわけですが(ちなみに男性もそんな感じでしたねーw)、彼女はそれをぶっ壊した。

彼女はその身体能力で、所謂「6時のポーズ」で片足バランスし、初めはそれを嫌悪した観客を、やがて熱狂させるまでに至り、バレエ・テクニックを、美の在り方を変えてしまった。

古林も、実際、シュ・スーから片足バランスでパッセに抜き、更にデベロッペして、アティテュードからアロンジェで長いバランス・・・の彼女を見て、たまげた!
ここまで、バランスをとったまま足は上がるのか、キープできるのか?と。
揺らがぬテクニックは、身体は、どんな構造なのかと。

Sylvieguilhem

ギエム登場以降、90年代~のバレエとそれ以前のバレエは、かなり違う印象です。
テクニックも表現も。
バレエ・ダンサーは身体能力を自由に使える時代が来たのだと思います。

そうでなければ、今、現代バレエがこんなに上演されていないことでしょう。
バレエ以外のジャンルから来た振付家のダンスをバレエ・ダンサーが踊ったりもしなかったでしょう。
バレエがアートとして、グローバル化しなかったことでしょう。
もしギエムがいなかったら、各バレエ団はいまだに古びた古典バレエを上演し続けて、バレエは埃をかぶって忘れ去られていたかもしれません。

  転機には、天才が現れる

まさにそんな感じではないかと思います。

羽生結弦選手もそんな天才のひとりではないでしょうか。

4回転時代の到来は、ヤグディンやプルシェンコが用意していた。
しかし、ステップの中から突然現れるジャンプなど、誰がそんなレベルを競技に求めたでしょう。
完全に振付の中に各エレメンツが溶け込むことが究極の目標であるなどと、どこまで本気に考えていたでしょう。

今の採点システムが、そのレベルを採点しきれないにも拘わらず。
競技としては、本来はそこまでする必要はないのに。

  次の世界は開かれた。
  ゆづの世界は次の時代への扉。

われわれは、羽生結弦選手によってフィギュアスケートが持つ、過酷だけれど甘美な世界を知ってしまった。
きっと後戻りできないし、見る方は、そのレベルを求め続けると思います。
それには、ゆづのような、柔軟性のある身体能力が必要になると思います。

男子選手にも、身体の柔軟性は要求されると思います。
上半身を使役して身体全体のバランスをコントロールするレベルが、競技として要求されるのも面白いと思います。
柔軟性が故の軸の取りにくさは、インナーマッスルを鍛えることにより改善されるのではと思います。
また、インナーマッスルを鍛えることにより、がっちり体形の選手は減ってくるでしょう。
(バレエ・ダンサーがそうだからね。解剖学が必要ね)

要するに。

  細マッチョ、キターーーーー!

って話です。

そうなれば、少年少女ばかりが優位という構図も少しは変わるのではないかと思います。
体重が軽くなれば、高度なジャンプも少しは楽にとべるはず。
ベテランに、若手にはないスケーティング・スキルが加われば、また、そこを採点することができれば、競技はより魅力的になる。
いいなー、そんな競技。

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きっと、古林は平昌が終わっても、フィギュアスケートを見続けると思います。
だから、そんな世界を楽しみにしています。

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コメント

>菊べえ様

素敵なメッセージをありがとうございました。
また、お返事が遅くなり大変申し訳ありませんでした

バレエ愛好家さまでゆづファンの方には、初めて出会いました。
これからも宜しくお願いします。

ミーシン先生の発言は確かに意味深いものですよね。
菊べえさんのおっしゃるとおり、ゆづはバレエの経験がほとんどなく(確か「あさ1」でもそう言っていたはず)、なのに美しい。
バレエを習っているロシア選手より美しいshine
まるでバレエの動きのようにしなやかで、かつ、現代ダンスの雰囲気もあり・・・。

うーん、こればかりは才能だと思うのですが、どんなにバレエの基礎を積んでも、バレエに見えないバレエ・ダンサーがいるのも事実だと思うのです。

ゆづには、ダンスの才能があるのだと思います。
また、研究熱心だし(鏡に向かってポーズ…のお写真がありましたよねhappy01
プラス、あの身体能力!
持って生まれた才能にはひれ伏すしかないのではないでしょうか。


菊べえさんは、ヌレエフとマーゴの時代からのバレエ・ファンなのですね。
英国ロイヤル・バレエの全盛期ですね!うらやましい!!!
森下洋子さんの活躍もご覧になっていらしたんですねheart01
そのころの森下さんの様子など、お聞きしたいです。

私は、その次の世代のバリシニコフからのファンです。
の、割には、生でバリシニコフのダンスを見たことはないのですが。。。
初めて見たのは、堀内元さんのバレエ(『タランテラ』)で、そこからバレエ鑑賞沼に落ちましたsweat02
か・・・かなり、バレエにお財布投入してます。
なおかつ今は、フィギュアスケートにも突っ込んでます。
しょーもない人生を送っていますが、よろしければ、またこちらの小径に遊びにきてくださいねheart02

古林さま
はじめまして菊べえと申します。
ネットでブログめぐり(羽生君応援)をしておりましたら、こちらのブログに出会い、素敵な文章に思わず迷いながらも^^;コメントしてしまいました~。

お題の「天才が開く世界」いいですねぇ♫
もう、うなづきまくりです。

ミーシン先生のこの文章は私も拝見しておりましたが、「エモーショナルな豹だ」がとても印象に強くのこってます。
ちらっと思ったのはバレエの経験がほとんどと言っていいほどない青年が世界の頂点に立っていて、ロシア勢は小さい時からそれを踏まえておしえているミーシンさんの困惑が少し読み取れた感じもいたしますが・・・ロシア勢も少し低迷してますしね。

>転機には、天才が現れる
>次の世界は開かれた。
>ゆづの世界は次の時代への扉。
こちらを読ませていただいて腑に落ちました~。
この前後のお話もとても興味深くさすがバレエに造形深い方は違うなぁと感心しております。

昔はバレエは好きで観てましたが(テレビ等、マッシュボーンも観てます)今はほとんどみなくなりました。
ヌレエフとマーゴが一番好きで日本の方では森下洋子さんです。
年代がわかりますかね(笑)。

はじめてなのに長くなって大変失礼致しました~。

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